今年、モードのおひざ元のフランスの国民議会の下院がBMI値が「18未満」のやせすぎるモデルをファッションショーなどに出演させるのを禁じる法案を可決しました。

BMI値とは体格指数といいますが、日本でも健康診断などで利用される指標の1つです。算出の仕方は体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)と電卓があれば簡単に計算できます。日本では数値が18.5未満だと「痩せ」18.5~25未満の方が標準、25以上が肥満気味とされています。肥満かどうかは体脂肪率なども考慮に入れる必要がありますが、きちんと測ろうとすると市販の電流を体内に流して測定する体組成計などでは不十分です。BMIの便利な点は身長と体重から簡単に自分の体格が標準かどうかの目安になる点です。

BMIが標準であっても、隠れ肥満という言葉は聞いたことがありますが、隠れ痩せという言葉はあまり聞きません。それくらい、体脂肪だけ落として標準体重でいることはボディービルダーのような訓練が必要です。
まして、BMIが18.5未満の方はどうしても「痩せ」の部類になるか、この数値で隠れ肥満ならなおさら体格上は好ましくありません。

では、肥満が健康上良くないなら、痩せなら良いかというと、決してそんなことはないのです。死亡率は標準体重に相当する方が一番リスクが低く、痩せ、肥満ともハイリスクな体格になります。

実はヘルシーとは程遠い痩せですが、厚生労働省が発表した「平成25年度国民健康・栄養調査」によると、成人女性におけるやせの割合は12.3%と調査開始以来最高値です。男性が同調査で戦後ずっとBMI値が上昇傾向にあるのに反して、50歳代以上の女性についても最近はBMI値の減少を続けています。特に20代のやせは深刻で21.5%でした。

女性の痩せすぎは深刻な健康被害に進展します。将来の骨粗しょう症予備軍となる上、行き過ぎると卵巣機能の低下など将来の不妊の原因になる可能性があります。

妊婦になってさえ、体重増加を気にする人は多く、痩せの女性が妊娠した場合、低体重児、子宮内胎児発育遅延、切迫早産や早産、貧血などのリスクが指摘されています。つまり、栄養状態のよくない母親からは健康な赤ちゃんが生まれにくいという傾向があるということです。

しかも、低体重で生まれた赤ちゃんは将来大きくなった時に様々な疾病を発症するリスクがあるとの研究が進められています。「小さく生んで大きく育てる」という言葉が一時期流行りましたが、それは胎児には無理なことだったのです。