「少女時代」ティファニーが、番組「お姉さんたちのスラムダンク」から降板しました。

まず、経緯からまとめましょう。

この番組は「お姉さんたち」が今まで実現できなかった夢を実現することを目標で進行するバラエティです。この番組の中で、女優ミン・ヒョリンの夢を実現する「UNNIES」の企画などは、韓国の放送歴史に残るような優秀なものでした。

8月13日と14日、両日間、東京ドームでは「SM TOWN LIVE in JAPAN, Tokyo」の公演が開かれました。翌日の15日になり、ティファニーは帰国準備で忙しい中、日本のファンに感謝の気持ちを込めて、SNSに写真をアップしました。

この日は、日本では「終戦の日」ですが、韓国では「光復節」です。日本の統治から独立したことを祝う韓国の祝日であります。

ティファニーが掲載したSNSには日本を象徴する「日の丸」のアイコンがあり、韓国ファンから「光復節」に関する民族感情に触るとの指摘があり、急きょ別の写真を掲載しました。

それが「旭日旗」をモチーフとしたものでした。韓国では、ドイツのハーケンクロイツと同じく「戦犯旗」と呼ばれたりもします。

「旭日旗」に対するそのような評価が妥当かどうかは、議論の余地がありますが…。

アメリカ育ちのティファニーはそのような認識は当然持たず、大きな沙汰となってしまいました。

ティファニーは羽田空港から金浦空港に帰国する前に、すでに直筆の「謝罪文」を出しました。

そして、今日、韓国放送局のKBSは、次の理由でティファニーの降板を発表します。

「制作陣とティファニーの所属事務所SMエンタテインメントは去る15日の光復節に旭日旗がモチーフとなった文字スタンプをSNSに掲載し、騒動となったティファニーの問題について議論してきた」

「協議の結果、問題となった内容が国民の情緒に及ぼす影響を考慮し、ティファニーの降板を最終決定した」

「国民の情緒」とは言っていますが、曖昧で基準にはなりません。「ティファニー降板運動」に反対する意見、象徴なんかに囚われず日韓の新しい未来を創っていこうとの意見など、別の「国民の情緒」は一切反映されていません。

喧しい沙汰だから、まずは収束させようとするKBSの意図は理解できますが…。

しかし、KBSだから、民放ではなく、元国営放送だから、国民の視聴料で運営されているから、守るべきの事を忘れてはいけません。

昨日の「EXO」の件も、「BLACKPINK」の件も、理不尽だとは感じていながらも、KBSとしての明確なルールが存在するし、KBSが何を求めているかが分かっているので、「厳しいね、KBSは」で終わらせることが出来ました。

しかし、「少女時代」ティファニーの件は、その基準すらありません。

それより重要なものは、KBSがある勢力に屈服したことであります。

日韓の間には、不幸な歴史や領土問題を悪用し、民族主義を煽って、利益を得ようとする勢力が存在します。金銭よりは政治的な権力を狙う勢力です。また、それを知らずに結果的にそのような意図に協力する人々もいます。

政治イデオロギーや信念を守ることが目標になってしまった人々。信念を貫くことは、本来、美しいものでもあります。

また、行き過ぎて信念の虜になることも個人の自由です。

しかし、相手の信念が自分の信念と違うとの理由だけで相手に噛み付くことは大きな間違いです。

世界の数多い紛争がそのような「信念の強要」で勃発していますし、実際、韓国と北朝鮮の分断も戦争も、そのような「信念の強要」が原因でした。

今日のKBSの決定は、「信念の強要」が今の韓国社会でも通じてしまったことを意味します。

結局、「色んな考え方」、「多様性」を失うことは、韓国社会に対する大きな損失であり、今日がそのような日でした。

優秀な番組に出演していた優秀なアーティストの降板を惜しんでいますが、今日、韓国社会が失った貴重なものは、もっと痛いところです。