ABCash Technologiesが、10月4日の「投資の日」に、「ABCash特別講師就任イベント」を開催した。イベントでは、金融教育ベンチャーであり“特別講師”に就任する厚切りジェイソンが登壇。お金について学ぶことの大切さについて語った。

またABCash Technologies代表・児玉隆洋も交えてパネルディスカッションを行い、“お金”に関する様々な不安や疑問に、2人ならではの視点でアドバイスや意見を交わした。「20代のうちからやっておくべきことは?」という質問に対し、厚切りジェイソンは「習慣が大事。若いうちはそんなに収入が高くないと思いますが、少額でも定期的な投資をする習慣を身に着ければ、稼げるようになってからもその習慣をキープできます。『収入が低いから今は投資なんて考えなくてもいい』と思っていると、収入が高くなってもやらないと思います。今のうちに色々調べ、試し、習慣にできれば、稼げるようになったときは投資額も比例して上がっていきます」と、将来を見据えたアドバイスをした。

「お金の勉強を始めたきっかけは?」という質問に対し、厚切りジェイソンは「僕はアメリカの大学を出て、普通に就職したのですが、入社手続きに『老後の投資プログラムに参加しますか?』というチェックボックスがあり、それにチェックを入れたのがきっかけでした。その投資プログラムに参加すると、自分の給料の一部が投資に回されるんです。まずは、それがどうなっているのかということに興味が沸きました。『これは本当に良い使い方なのか?』と思い調べ始めたら、長期の分散投資を続けていると高い確率で増え続け、結果的に老後の資金が作れるということを理解しました。日本にはしっかりした年金制度がありますが、アメリカは全然です。でも時間をかけてやっていけば、アメリカで暮らす普通のサラリーマンでも老後のために貯蓄することが可能です。若い頃から投資していれば、日本も“2000万円問題”を多くの人が解決できると思いますよ」とアメリカでの生活を振り返りながら答えた。児玉は「私はお金の勉強を始めるのがすごく遅くて。20代はメディアサービスをずっと作ってきたので、インターネットについては詳しかったのですが、お金のことは全然知らなかったんです。頑張って仕事をして収入は上がっているのに、毎月の収支に追われている。そこで『やばい』と感じ、金融教育に興味を持つようになりました。例えば、住宅ローンの組み方で数十万、下手すれば数百万円ほど変わってくる。難しい、とっつきにくいと思っているお金の知識にこそ、ちゃんと価値があると気付きました」と答えた。

続いて、「投資をするとどう変わるか、どう変わったか?」という質問が。児玉は「投資をするようになって、占い師の気分がわかるようになりました。占い師が水晶玉で未来を見るじゃないですか。投資は未来にお金を使っているので、未来の日本や世界がどうなっていくのかというのを、占い師が水晶玉を見るように一生懸命考えるようになりました。経済ニュースを主体的に見るようになったり、セミナーに通うようになったのは、投資を始めてからです」と、自身の変化を占い師に例えながら説明した。一方の厚切りジェイソンは「正に占いと同じように、将来はどうなるかわからないですよね。だから僕は逆に、投資において社会情勢は一切考慮していないです。同じことを、ひたすら計画通りに続けています。興味を持つのはもちろん良いことですが、それを気にしすぎるとストレスになってしまうので。なぜ何も考えなくて良いかというと、僕は全て過去のデータに基づいて考えているからです。過去の事例に照らし合わせ、大体同じようなパターンになっていくだろうと想定して投資を行っています」と、投資のために時間を費やし過ぎない工夫についても語った。

3つ目の質問は「お金の勉強を初めて知らなきゃ損と感じたこと、知らずに損した体験談を知りたい」というもの。これに対し厚切りジェイソンは、「僕は稼いだ円をドルに換え、アメリカの投資信託を買っているのですが、為替をどのように換えるかによって損していたことがありますね。日本のメジャーな銀行からアメリカの銀行に国際送金をすると、手数料などが少し高くついてしまうんです。そのことに気が付き、それよりもお得に為替を変更できるレートをいくつか見つけて、今では実際の為替レートに近い形で円をドルに換えています。投資を行うときは、すべての手数料を把握することが非常に大切です」と、熱弁。児玉は「住宅を購入するとき、新築のマンションを3000万円で購入するとしたら、税込みで3300万円支払うことになりますよね。しかし、3000万円で築一年の中古マンションを買うとしたら、物件価格には消費税がかからないので、3000万円で購入できます。ここに300万円の差額が生まれるんです。もちろん『だから中古のマンションを買いましょう』という話ではありません。それを自分の価値観で判断できれば良いのですが、何も知らないまま選択してしまうのが怖いなと思いました」と、知らないと大きな損をしてしまうかもしれない、お金の“ヒヤリハット”を語った。これに対して厚切りジェイソンは「それで言えば、投資目的で金を買うのにも消費税がかかるのは驚きですよね。だって、金を消費する人いる?飲み込むつもりなのかね?」と消費税に関する小ネタを挟み、会場の笑いを誘った。

最後の質問「20~30代の若者がお金の勉強を始めるとしたらまず何から始めたら良いか」について、厚切りジェイソンは「まずは自分の状況を把握することが大事です。僕は入ってくるお金がどこに流れていくのかを、1円単位で把握しています。自分の事情から勉強していくのが、良いスタートだと思います」と話し、児玉は「何に満足するかを知ることが大事です。例えば保険ショップに行ったとき、担当者から色々なアドバイスをもらいますよね。その保険のアドバイスをくれる方が何に満足するかを考えたときに、保険商品が売れて、インセンティブが入ることが嬉しいとわかります。それを知らずに話を聞いてそのまま決断すると、誤った判断をしてしまうこともあるので、相手と自分の満足について知る・考えるのは大切だと思います」と解説。これについて厚切りジェイソンは、「消費社会では、次の新しいものを手に入れるまでは幸せになれないという悪循環が生まれます。周りと比較しながら自分を見ていると、ずっとお金に追われているような人生になってしまう。自分の満足を、自分で考えられていないんです。まずはどんな人生を生きたいか、自分の軸を自分で作ったらある程度自由になれます。他人と比べることなく、自分の満足を基準にして投資をしていくことが、幸せになりやすい道だと思います」と、自分の満足を追求することの大切さについて語った。最後に児玉は、「お金は人生を豊かにする道具にしか過ぎないと思っています。自分の人生の目的地がどこにあるか?というのを、ABCashの生徒さんにもまず考えてもらうようにしています。お金は約4000年前にメソポタミア文明で開発されたと言われているのですが、人を豊かにするために発明された道具に、いつの間にか世界が支配されてしまっている。まずは人生の目的地を決めて、そこに行くまでにはいくらのお金が必要で、どういうルートを辿ればそこに到達できるのかを明確にすることが大切だと思います」と伝え、ディスカッションを締めくくった。